宍道湖・中海

宍道湖の夕日

中海のコンクリート護岸

シンジコハゼ

宍道湖のカモたち

放置された農地用干拓地

ホットスポット名称 :
宍道湖・中海
住所:
島根県松江市
ホットスポットの概要:
  • 宍道湖は、出雲平野東部に位置し、主な流入河川は斐伊川。その他秋鹿(あいか)川などの小河川も流入している。宍道湖と大橋川でつながる中海は、境水道で日本海とつながっている。
  • 宍道湖、中海ともに、もともと海の一部だったが、砂州の発達などで閉鎖的な沿岸潟湖となった。
  • 中海は平均して海水の2分の1の塩分(高塩分汽水)、宍道湖は海水の10分の1の塩分(低塩分汽水)。
  • 塩分は潮の干潮や気象条件で変化し、湖水の上層、下層でも濃度が変わる。この変化に富んだ塩分濃度が豊かな生物多様性を生み出している。
事業名:
宍道湖淡水化事業、中海干拓
事業内容:
  • 中海の4分の1を干拓。
  • 中浦水門、堤防などを建設し、水門によって海水を遮断することにより、宍道湖を淡水化する。
事業の目的:
  • 農地の造成。
  • 宍道湖を完全に淡水化し、農業用水、工業用水として利用する。
問題の経緯:
  • 1920年代、斐伊川の治水のため、宍道湖の排水路となっている大橋川の浚渫工事を行ったが、水通しがよくなり中海の高塩分水が宍道湖に流れ込み灌漑に使えなくなる。このことによって宍道湖淡水化の声が起き始める。
  • 敗戦後、食料増産のため「国営中海干拓淡水化事業」として急浮上。
  • 宍道湖漁協などの根強い反対がったが、1967年「国のため」と説得され、漁協は涙をのんで漁業補償に調印。1970年から干拓が本格化。
  • 1970~1980年にかけて中海干拓が進むにつれ、水の流れや水質が大きく変わり、宍道湖にも悪影響が出だす。
  • 1981年、中海干拓の基本的な工事が完成し、建設された中浦水門を閉めて干陸化するだけとなるが、水質汚濁などを訴えて漁師や市民が反対。
  • 1984年、宍道湖シジミ組合が、国に漁業補償金を返還することを決定。
  • 1988年、農水省、島根県知事が、淡水化事業の延期を表明。
  • 2000年、農水省、島根県が、中海干拓事業中止を合意。
  • 2002年、農水省が淡水化事業中止を表明。
  • 2005年、ラムサール条約湿地に登録され、国際的にも保全されるべき地域となる。
守るべき生物多様性:
  • 複雑な塩分濃度による宍道湖と中海ともに70種を超える魚類。サクラマス、クルメサヨリ、イトヨ(日本海型)、シンジコハゼなど。
  • 宍道湖に生息する68種の甲殻類。特に2001年新種として発見された固有種シンジコスナウミナナフシなどが貴重。
  • 宍道湖は、西日本最大の野鳥の宝庫であり、水鳥の渡来地。約240種の鳥類が生息。特にガン・カモ類は4万羽が飛来。キンクロハジロが2万羽、スズガモは5000羽が確認されている。
  • 宍道湖の漁獲高は、内水面では日本最大。特にシジミは全国漁獲量の約38%を占め、現在では、小さいシジミを取らないように、目の大きなジョレンという漁具が使用されている。日本の食文化を守るためにも重要。
  • 「宍道湖七珍」と呼ばれる地産地消の淡水魚食文化。アマサギ(ワカサギの地域名)、シラウオ、ヤマトシジミ、スズキ、ウナギ、コイ、モロゲエビの7種。
  • 越中、小袋網やジョレン(シジミ掻き)アマサギ掻きなどの伝統的漁法や漁具。
現状:
  • 中海はかろうじて残り、宍道湖の淡水化もまぬがれたが、コンクリート護岸や堤防による水質汚染は課題として残る。自然工法による湖岸への転換が必要。
  • 中海は大規模な地形改変が行われたため、多くの浅場がなくなり、3000万立法メートル(およそ東京ドーム24個分)におよぶ窪地が作られた。湖底を元の深さに戻す必要がある。
  • 干拓地は、農地として利用するために行われたが、多くが農地利用されず放置されている。
  • 漁業者の後継者不足は深刻で、宍道湖・中海の持続可能な利用の継続が将来的に保証されていない。
  • 宍道湖自然館ゴビウスが作られ、宍道湖・中海保全の普及啓発が熱心に行われている。
  • 宍道湖自然館ゴビウスでは、淡水魚の繁殖研究、種の保全に力を入れている。
取り組むNGO・市民活動:

NPO法人自然再生センター
http://www.sizen-saisei.org/