半農半ケーキ屋「欧舌(おうした)」と「おうちえん」大下充億さん

大下充億さん

半農半ケーキ屋「欧舌(おうした)」

欧舌の品々

古民家に手を入れた「おうちえん」

自然農にもチャレンジ

ホットスポット名称:
半農半ケーキ屋「欧舌(おうした)」と「おうちえん」大下充億さん
住所:
山口県柳井市平生
タイトル:
知識だけでは人は変わらない、「場」を作ろう!
レポート内容:

山口県柳井市に、美味しくてサステナブルなケーキ屋があると聞き訊ねた。経営者の大下さんは、かつて大干ばつで絶対的貧困に苦しむソマリアで難民のための学校作りを手伝っていた。農繁期なので田舎に帰るというワーカーについて行き彼らの自給自足の村で、3週間過ごした。午前中だけ仕事をして午後は自由。そんな彼らの暮らしを見て「生きるとか幸せってこんなふうにシンプルでいいんじゃないか」と実感した。

その後日本に帰国し、実家のケーキ屋を継いだ。ところが、長年ケニアやソマリアで添加物に無縁の暮らしのせいで、からだがピュアになっていたせいか自店の添加物に身体が反応。1年かけてケーキの材料探しをした。環境への関心がどんどん強まり、菓子作りに使う小麦も自分で作ろうと半農半ケーキ屋になった。地産地消の「サステナブルなケーキ屋さん」の誕生だ。

自分自身が自然との関係を変えるモデルになろうと平生に移り住み、家も自分で手作り。店は半日、残りは家づくりと思ったが、サステナブルなケーキ屋欧舌は、話題になりお店が忙しくなりすぎた。リニューアルして三ヵ月目でいったん立ち止まろうとストップ。現在、ケーキ屋は弟さんにまかせている。大下さんは?と言えば次なる実践に取組み始めた。

子どもが次々誕生し4人になり、地元の平生幼稚園に通わせていたが11時半で終わってしまう。そうすると午後から他の子どもたちも大下さんのところへ遊びにくるようになった。また、当時上関原発問題をめぐる賛成、反対の厳しい対立の中で、大人たちの関係が、ディスコミュニケーションか同調かのどちらかしかないことが根本的な問題なのでは?と考えるようになった。子どもの時からそれぞれ違っていて当然、でもだからこそ対話するということを幼い時から学ぶ場所が必要だと痛感。大人と子どもがフラットな関係でいられる素敵な空間を作りたい。そしてちょっと風変わりな幼稚園「おうちえん」が生まれた。

古民家に手を入れた「おうちえん」の居間には、ニワトリが入ってくる。土間や庭では、子どもたちの笑い声がする。前の田んぼには子どもたちが入り生き物をつかまえるのに夢中。まるで田舎のおばあちゃんの家に遊びにきている感じだ。「おうちえん」には、他の園から移ってくる子も多い。おうちえんに来た子どもは、満たされ、受け入れてられ変わっていく。そして自分で考える力を持つ。

「今の社会は、むしろ大人が問題。環境問題は、知識では伝わらない。自分が体験したことこそ大切」と大下さんは語る。そして「伝えよう、人を変えようという考え方をやめた」。伝えるというより場を作ることが大事であることに行きついた。

大下さんは、今自然農にもチャレンジしている。「自然農は希望だと思う。でも大変で試行錯誤なんだよねー」と笑う姿にこそ希望を感じる。そして、人の多様性と生物多様性はリンクしている事を実感する。

2016年 坂田昌子